従業員12名、大阪府東大阪市の内装会社。この会社が大学と組んで、壁紙の型番をAIで見分けるアプリをつくり、営業1人あたり月に約9時間の作業と138kmの移動を減らしました。建設業のAI活用は、大手ゼネコンだけのものではなくなっています。国土交通省の資料によると、建設業の就業者は1997年の685万人から2025年には478万人に減り、55歳以上が36.6%を占める一方、29歳以下は11.9%にとどまります(出典:国土交通省『建設業、不動産業界の最新動向、今後の展開』)。

そこで本記事では、建設業のAI活用事例を16件、見積・営業提案、設計・法令調査、施工管理・安全管理、技術資料の検索、社員教育・事務の5つの業務に分けて紹介します。すべて2024年10月以降に各社や官公庁が公表した事例で、会社の規模・使ったAI・効果の数字・出典をそろえて載せました。中小企業の事例から見える始め方、会社の種類別の始め方、費用と期間の目安、導入の進め方もあわせてまとめています。

この記事でわかること

  • 業務別の建設業のAI事例がわかる
  • 中小建設会社の始め方がわかる
  • 費用と期間の目安がわかる
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建設業のAI活用事例 一覧

建設業のAI活用事例 一覧

本記事で紹介する16件を、1つの表にまとめました。会社名を押すと、それぞれの事例の説明に移ります。規模の欄は、出典や会社概要に従業員数が書かれているものだけを載せています。

会社 規模 業務 AI 効果 発表
コマツ 中小(12名) 壁紙の識別 画像認識 営業1人月約9時間を削減 2026年6月
平山建設 中小(85名) 概算見積・提案 生成AI 見積の誤差7%以内 2026年7月
サトウ工務店 公表なし 非住宅の提案・概算 生成AI 開発中 2026年10月
トヨタホーム 大企業 営業提案のパース 画像生成AI 1枚約1分 2026年9月
大林組 大企業 法令調査 AIエージェント 約67%短縮 2026年8月
大林組 大企業 構造設計 ルールベースAI・クラスタリング・数理最適化 1週間→1日 2025年6月
北野建設 中堅(778名) 現場の情報検索 生成AI 数値の公表なし 2026年5月
大成建設 大企業 施工計画書 生成AI 作業時間を約85%削減 2025年11月
大林組 大企業 安全管理 画像認識 数値の公表なし 2026年7月
大豊建設 中堅(1,072名) 規程検索・議事録 生成AI 規程検索で約250時間削減 2026年4月
ダイダン 大企業 技術文書の検索 生成AI・RAG 回答精度80%に向上 2025年10月
戸田建設 大企業 社内の知識の検索 生成AI 3,000人以上が利用 2026年5月
清水建設 大企業 技術文書の検索 生成AI・RAG 利用者2,000人超 2025年7月
アイニコグループ(楓工務店) 中小 見積・書類・図面 生成AI 1年で2,247時間を削減 2026年5月
コプロス 中小(121名) 新入社員研修・営業 生成AI 研修の工数を25%削減 2026年2月
ミサワホーム 大企業 問い合わせ対応 生成AI 1件あたり約4分30秒短縮 2026年6月

建設業でAIが求められる背景

建設業でAIが求められる背景

建設業でAIの活用が広がっている背景には、人手と働く時間をめぐる4つの事情があります。

働き手が減り、高齢化が進んでいる

建設業の就業者は、1997年の685万人をピークに減り、2025年には478万人になりました。そのうち技能者は455万人から296万人に減っています。年齢で見ると、55歳以上が36.6%、29歳以下が11.9%で、高齢化が進んでいます(出典:国土交通省『建設業、不動産業界の最新動向、今後の展開』(2026年4月))。

ベテランが引退する前に、その人が持つ判断の基準や過去の経験を、若手が引き出せる形で残しておく必要があります。今回の事例でも、技術資料の検索や設計の自動化に、熟練者の知見を組み込む会社が多く見られます。

2024年4月から、時間外労働の上限規制が適用された

建設業にも2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、原則として月45時間・年360時間が上限になりました(一部に特例があります。出典:厚生労働省「建設業の時間外労働の上限規制」)。いわゆる「2024年問題」です。

工期や現場の仕事量は変わらないまま、働ける時間には上限ができました。働ける時間に上限がある以上、施工計画書や社内の調べもののような現場の外の仕事をAIで減らし、その時間を現場に回す考え方が大切です。

国の i-Construction 2.0 が、2040年度に3割の省人化を掲げている

国土交通省は2024年4月に「i-Construction 2.0」をまとめました。2040年度までに、2023年度と比べて建設現場で少なくとも3割の省人化、つまり生産性を1.5倍以上に上げることを目指しています。柱は「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」の3つです(出典:国土交通省『i-Construction 2.0』(2024年4月))。

公共工事では、図面や書類のデジタル化と、遠隔での施工管理が前提になっていきます。AIは、そのデジタル化したデータを使って仕事を減らす道具として位置づけられます。

中小の建設会社でAIを使っているのは、約4社に1社

「2026年版中小企業白書」によると、2019年以降の省力化の投資のうち、AIの活用に取り組んだ中小企業は全体で30.3%、建設業では25.9%でした(出典:中小企業庁『2026年版中小企業白書』第2-2-87図)。

言いかえれば、中小の建設会社の4社に3社は、まだAIを使い始めていません。同じ規模の会社がどの業務から始めたのかを知ることが、最初の一歩を決める近道になります。

建設業でAIができること

建設業でAIができること

今回の16件を見ると、建築・土木を含む建設業でのAIの使い道は、大きく6つに分けられます。

見積・営業提案

概算見積の作成、完成イメージのパースづくり、壁紙など既存の部材の識別です。住宅会社や工務店では、初めの打ち合わせで施主に見せる建築のイメージや見積をAIで早く作る使い方が出てきています。

設計・BIM・法令調査

建築の設計では、間取りや部材の断面、設備の配置をAIが提案したり、設計の初めに確かめる法令や条例の論点を洗い出したりします。図面や設計のデータがデジタルでそろっているほど、AIに任せられる範囲が広がります。

施工管理・書類の作成

施工計画書の原稿、日報や報告書、発注書づくりなど、現場の外で時間を取られている書類の仕事です。発注情報と社内の過去の書類を読ませ、決まった書式の原稿をAIに作らせる使い方が中心です。

安全管理

現場のカメラの映像をAIが解析し、吊り荷の下への立ち入りや重機への接近、ヘルメットの未着用などを見つけて知らせます。現場監督の見回りを置き換えるのではなく、見きれない範囲を補う使い方です。

技術資料の検索・技能の伝承

施工要領書や基準書、社内規程、過去の災害事例などを生成AIに読ませ、質問すれば根拠つきで答えが返る仕組みです。今回の事例では、中堅から大手のゼネコンでいちばん多い使い方でした。ベテランに聞きにくい若手の「最初の相談相手」にもなります。

社員教育・事務・問い合わせ対応

新入社員の研修、議事録、メール、問い合わせの通話の記録など、どの会社にもある仕事です。法人向けの生成AIのサービスを使えば、専門の人材がいなくても始めやすい領域です。

見積・営業提案のAI活用事例

見積・営業提案のAI活用事例

概算見積やパースづくり、壁紙の識別など、施主や取引先への提案にかかわる事例です。工務店や内装会社など、規模の小さい会社の事例が多い領域です。

コマツ|従業員12名の内装会社が、職人の勘で見分けていた壁紙の型番をAIで当てる

会社 コマツ株式会社(大阪府東大阪市)
規模 12名
業務 壁紙の型番の識別(営業の現場)
AIの種類・ツール 画像認識(壁紙AI識別アプリ「かべぴた」。同志社大学と産学連携で開発)
効果 識別精度90%以上。営業職1人あたり月平均約9時間(移動込み)と移動距離138kmを削減。会員数37,000人以上
発表 2026年6月
出典 経済産業省「DXセレクション2026」選定企業レポート(p.8)
日本DX推進協会のプレスリリース(PR TIMES)

東大阪で建設・内装業を営むコマツでは、壁紙の識別に1商品あたり平均1〜3時間かかり、目で確かめるために現地へ足を運ぶ移動の時間と費用も大きな負担でした。

同社は同志社大学と組み、職人の勘として蓄積されてきた判断を、壁紙をAIで見分けるアプリ「かべぴた」に落とし込みました。識別の精度は90%以上です。自社だけでなく、関係する会社みんなの負担を減らすことを目指して、アプリとして公開しています。

営業職1人あたりの月の作業時間は移動込みで約9時間減り、移動距離も138km減りました。アプリの会員数は37,000人を超えています。取り組みは、経済産業省の「DXセレクション2026」の選定企業に選ばれました。

ベテランが「見ればわかる」作業は、画像認識のAIに置き換えやすい仕事です。移動して確かめている作業がないかを洗い出すと、候補が見つかります。

平山建設|社員85名の建設会社が、見積と提案の仕組みを社員の手で内製

会社 平山建設株式会社(千葉県成田市)
規模 社員85名
業務 概算見積、提案の作成
AIの種類・ツール 生成AI(Claude、MCP、Blender。土台は Google Workspace)
効果 概算見積の誤差7%以内。社員の8割以上が日常的にAIを活用。全社平均の月間残業15時間以下
発表 2026年7月
出典 日本DX推進協会のプレスリリース(PR TIMES)

1901年創業、社員85名の平山建設は、千葉県成田市の建設会社です。4代目の社長が就任したあと、入れたシステムが社内に定着せず、苦労した時期がありました。

転機は Google Workspace を全社に根づかせたことでした。そのうえで生成AIを使い、建築コストの概算見積の仕組みと、Claude・MCP・Blender を組み合わせた提案の仕組みを、社員自身が作っています。

概算見積の誤差は7%以内に収まり、社員の8割以上が日常的にAIを使うようになりました。全社平均の月間残業は15時間以下まで減っています。社長は日本DX大賞2026の個人表彰でエバンジェリスト賞を受けました。

AIの前に、まず全員が毎日使う道具を1つ定着させておくと、その上にAIを載せやすくなります。

サトウ工務店|新潟の工務店の社長が、非住宅の3Dパースと概算をAIで出す仕組みを開発

会社 株式会社サトウ工務店(新潟県三条市)
規模 公表なし
業務 非住宅(事務所・店舗・倉庫)の初期提案、概算見積
AIの種類・ツール 生成AI(開発中の提案支援システム「もくナビ」)
効果 数値の公表なし(開発中)
発表 2026年10月
出典 新建ハウジング

自社でも非住宅の木造を手がけるサトウ工務店の社長は、技術支援やネットワークの運営を通じて、工務店が事務所や店舗などの非住宅に参入するのを支えてきました。初めの段階で、施主との合意をすばやく確実につくることが、参入の要になります。

開発中の「もくナビ」は、チャットで用途・規模・施主の要望を入れると、社長が作ったサンプルプランから3Dパースを生成し、概算見積も出す仕組みです。林業系のシステム開発者と組み、事務所・店舗・倉庫の300〜500㎡規模のプランはすでにできています。

今後は800㎡の大きな建物や福祉施設など、プランの種類を増やす予定です。効果の数字はまだ公表されていません。

AIに読ませる「型」(ここではサンプルプラン)を自社で先に作っておくと、AIの出す答えが自社の仕事の水準からずれにくくなります。

トヨタホーム|住宅の完成イメージを、AIで写真のようなパースに1分で仕上げる

会社 トヨタホーム株式会社(愛知県名古屋市)
規模 公表なし
業務 住宅の営業提案(外観・内観のパース)
AIの種類・ツール 画像生成AI(ファインの「AIパース」を自社のプレゼンテーションシステム「Persmart」に組み込み)
効果 写真に近いパース画像を約1分で1枚作成
発表 2026年9月
出典 新建ハウジング

同社は商談で、自社のCADと連携したプレゼンテーションシステム「Persmart」を使い、パースや3DのVRで完成後の住まいを見せてきました。

このシステムに、ファインの「AIパース」の技術を使った写真に近い画像を作る機能を、両社で共同開発して加えました。プランごとの外観と内観のパースを、AIで写真に近い表現にします。

写真に近い質感のパースを、約1分で1枚作れるようになりました。初期の提案から完成後のイメージを見せられるようにし、販売店で順に使い始めます。

設計の中身は変えず、すでにある図面データの「見せ方」だけをAIで変える使い方は、営業の現場で効果が見えやすい始め方です。

設計・法令調査のAI活用事例

設計・法令調査のAI活用事例

法令の調べもの、構造の断面設計など、建築の設計にかかわる事例です。

大林組|設計の初めに行う法令の調べものを、AIエージェントで週4.3時間から1.4時間に

会社 株式会社大林組(東京都港区)
規模 公表なし
業務 設計の初期段階の法令調査・要件の整理
AIの種類・ツール AIエージェント(Tektome の建設に特化したAIエージェント基盤)
効果 法令・条例などの確認時間が1人あたり週平均4.3時間から1.4時間に(約67%短縮)。論点の整理などに効果を感じた実務者は100%
発表 2026年8月
出典 大林組 ニュースリリース

建物の設計では、建築基準法に加え、条例や省エネ・環境の基準など、確かめることが多くあります。社内の設計部門の調査でも、「法令・条例・基準の調査」がいちばん時間のかかる業務に挙がっていました。

同社は、法令のデータと社内にためてきた過去の法令解釈や設計検証の知見を、Tektome のAIエージェント基盤に組み込みました。設計の初めに確かめるべき論点や注意点を、根拠の資料とあわせて参照できます。

実務者での検証では、法令・条例などの確認にかかる時間が1人あたり週平均4.3時間から1.4時間に減りました。論点の整理などに効果を感じた人は100%でした。

法令の条文だけでなく、自社の過去の解釈や判断もAIに読ませると、社内の確認の窓口とのやりとりまで短くなります。

大林組|構造設計者のノウハウを数式にし、1週間かかる断面設計を1日に縮める

会社 株式会社大林組(東京都港区。ギリアの協力で開発)
規模 公表なし
業務 構造設計(部材の断面設計)
AIの種類・ツール ルールベースAI・クラスタリング・数理最適化(構造設計支援AIプログラム)
効果 数時間かかっていた計算を数分程度で処理。断面設計を1週間から1日に短縮できるとしている
発表 2025年6月
出典 大林組 ニュースリリース

柱や梁の大きさを決める断面設計では、試して、解析して、評価することを何度もくり返します。設計を詰めたり変更したりするたびに、大きな手間がかかっていました。

同社は構造設計者が長年ためてきたノウハウをルールベースAIで数式にし、部材のグループ分けをクラスタリングで、断面の決定を数理最適化で自動にしました。まずは鉄骨造の建物から使います。

数時間かかっていた計算は数分程度で終わり、1週間かかっていた断面設計を1日に縮められるとしています。今後は鉄筋コンクリート造などにも広げる計画です。

生成AIだけがAIではありません。答えの根拠を説明しやすいルールベースや最適化の手法も、設計のような正確さが要る仕事では有力な選択肢です。

施工管理・安全管理のAI活用事例

施工管理・安全管理のAI活用事例

施工計画書の作成、現場での情報の検索、AIカメラによる安全管理など、現場の施工管理にかかわる事例です。

北野建設|長野の中堅ゼネコンが、現場の担当者がタブレットで聞ける生成AIを動かす

会社 北野建設株式会社(長野県長野市)
規模 778名(2026年3月末)
業務 現場の情報検索、技術調査、書類作成の補助
AIの種類・ツール 生成AI(日立ソリューションズとの協創で構築)
効果 数値の公表なし(技術情報の検索時間の大幅な削減を見込む)
発表 2026年5月
出典 北野建設 お知らせ(PDF)
北野建設 会社概要

人手不足と技能の継承という業界の課題を背景に、現場の業務を生成AIで省力化することを目指していました。

同社は2024年度から日立ソリューションズと、社内の技術資料や各種の報告書、国土交通省の公開資料を対象に、情報の検索、技術調査、書類作成の補助にAIが役立つかを検証してきました。その成果をもとにシステムを作り、建設現場での運用を始めています。

現場の担当者は、PCやタブレットから対話の形で社内外の情報を探せるようになりました。利用者の質問の中身を分析し、教育や研修の充実にも使う考えです。

AIへの質問の記録は、現場が何に困っているかを示すデータになります。研修の中身を見直す材料にも使えます。

大成建設|500ページを超えることもある施工計画書の原稿を、生成AIで約10分で作る

会社 大成建設株式会社
規模 公表なし
業務 土木工事の全体施工計画書の作成
AIの種類・ツール 生成AI(視覚言語モデル(VLM)を使ったマルチモーダル生成AI。自社で開発)
効果 作業時間を従来比で約85%削減。原稿を約10分で自動生成
発表 2025年11月
出典 大成建設 ニュースリリース

公共工事の全体施工計画書は、地方整備局ごとに書式が細かく決まっており、工事によっては500ページを超えます。経験豊富な技術者の指導のもと、多くの担当者が手作業で作っており、負担と属人化が課題でした。

同社は、入札公告や特記仕様書などの発注情報と、社内にためてきた技術提案などの知見から、国土交通省の書式に沿った計画書の原稿をWord形式で作るシステムを開発しました。AIの出力の信頼性が低い箇所を自動で見つけ、経験豊富な技術者がそこを確かめる仕組みも入れています。

原稿は約10分ででき、作業時間は従来より約85%減らせます。経験の少ない社員でも、正確に早く作れるようになりました。

AIが自信のない箇所を示し、そこだけ人が確かめる形にすると、生成AIの誤りの心配を抑えながら書類の時間を減らせます。

大林組|仙台市役所の建設現場で、吊り荷の下への立ち入りをAIカメラが見張る

会社 株式会社大林組(東京都港区)
規模 公表なし
業務 安全管理(不安全行動の検知)
AIの種類・ツール 画像認識(セーフィーのクラウドカメラ「Safie GO PTZ」と Ailytics の映像解析AI「Ailytics(SF)」)
効果 数値の公表なし(現場監督が常に見ていない状況でも的確に検知できることを確認)
発表 2026年7月
出典 セーフィーのプレスリリース(PR TIMES)

建設現場では、現場監督が現場全体を見続けることは難しく、人の目だけでは把握しきれない危険があります。一方で、新しいシステムの開発や複雑な設定が要る仕組みは、現場の職員には入れにくいものでした。

仙台市役所の建設工事の現場で、2026年2月から5月までの120日間、クラウドカメラ3台と映像解析AIを使い、吊り荷の直下への立ち入り、重機への接近、立入禁止の区域への侵入を検知する実証を行いました。検知した前後5秒の映像は自動で切り出され、管理者に届きます。

現場監督が常に見ていない状況でも、的確に検知できることを確かめました。切り出した映像は、協力会社も含めた安全教育にも使います。

すでにあるネットワークカメラに解析を足す形なら、現場に新しい作業を増やさずに安全管理を補えます。

技術資料の検索・技能伝承のAI活用事例

技術資料の検索・技能伝承のAI活用事例

施工要領書や社内規程、過去の災害事例などをAIから引けるようにし、若手への技能の伝承にも役立てている事例です。

大豊建設|「ベテランには聞きにくい」若手のために、社内AIを作り規程検索だけで約250時間を減らす

会社 大豊建設株式会社(東京都中央区)
規模 1,072名(2026年3月31日現在)
業務 社内規程の検索、議事録の作成、資料の要約、日常の質問
AIの種類・ツール 生成AI(AWS の Amazon Bedrock で構築した「大豊AI」)
効果 全社展開から約8カ月で307名が利用、累計32,709回以上。規程検索だけで約250時間の業務時間を削減
発表 2026年4月
出典 AWS ブログ(生成AI事例)
大豊建設 会社概要

社内規程は月に数回更新されますが、文書管理システムのフォルダが複雑で、どこにあるかを探すのに時間がかかっていました。中堅の世代が少なく、若手とベテランの所長が組む現場では、若手が質問するきっかけを逃しがちでした。

同社は2024年3月に LINE WORKS のAIボットから試し始め、2024年10月にWebで使う形に切り替えました。本社と支店から集めたワーキンググループで機能を決め、AWS の上に議事録の作成、資料の要約、社内規程の検索などを備えた「大豊AI」を作り、2025年6月に全社へ広げています。

約8カ月で307名が使い、利用は累計32,709回を超えました。規程の検索だけで約250時間の業務時間が減っています。

いきなり全社に配るより、支店ごとに使い手を集めて機能を決めると、現場で使われる形に仕上がります。

ダイダン|図や表の入った技術資料にAIが答えられない問題を、資料の整え方から直す

会社 ダイダン株式会社
規模 2,568名(2026年3月末。契約社員・パートタイマーを含む)
業務 社内規程・技術文書の検索
AIの種類・ツール 生成AI・RAG(ソフトバンクの生成AIパッケージ、RAG用のデータ作成ツール「TASUKI Annotation」)
効果 検索の回答精度が80%まで向上。1回約15分の手作業のアップロードが不要に
発表 2025年10月
出典 ソフトバンク 導入事例
ダイダン 会社概要

空調・電気・情報通信の設備工事を手がける同社は、社内規程や技術文書をAIに読ませて答えさせる仕組みを作りました。ところが、図や表を含む資料では目当ての情報にたどりつけない場面が多く、データを連携させるたびに手作業で1回約15分かかっていました。

同社は、AIが読みやすい形に資料を整えるデータ作成ツールを入れ、資料の加工を自社でできるようにしました。生成AIの環境と連携させ、ファイルの取り込みも自動にしています。

検索の回答の精度は80%まで上がり、全社に公開して業務で使える水準になりました。手作業のアップロードも不要になっています。

AIの答えが外れるときは、AIを替える前に、読ませている資料の形(図・表・レイアウト)を疑うと改善の糸口が見つかります。

戸田建設|過去の災害事例や技術提案書をAIから引ける社内基盤を内製し、3,000人以上が利用

会社 戸田建設株式会社(東京都中央区)
規模 公表なし
業務 設計の検討、顧客への提案、社内文書の作成
AIの種類・ツール 生成AI(自社で開発した「Toda-AI-Portal」)
効果 2026年4月時点で社員3,000人以上が利用
発表 2026年5月
出典 IT Leaders

汎用の生成AIのサービスでは、建設業に特有の専門知識や自社の情報を、業務に合った形で使いにくいと判断していました。施工技術の資料や過去の災害事例、公共工事の技術提案書は、社内に散らばっていました。

同社は生成AIの基盤「Toda-AI-Portal」を自社で開発し、これらの文書をAIから参照できるようにしました。社内の標準の書式に沿ったPowerPointやExcel、Wordの文書を作る機能もあり、個別に進めていたAIのアプリもここに集めています。

2026年4月の時点で、社員3,000人以上が使っています。現場の技術判断に必要な情報を、根拠つきで引き出せるようになりました。

AIの入口を1つにまとめておくと、部署ごとに別々のツールが乱立するのを防げます。

清水建設|施工要領書を引けるAIアシスタントを現場で試し、全社で2,000人超が使うまでに

会社 清水建設株式会社(東京都中央区)
規模 公表なし
業務 施工要領書・基準書の検索、各部門の業務
AIの種類・ツール 生成AI・RAG(Lightblue の「Lightblue Assistant」)
効果 全社導入後の利用者が2,000人を超えた(2025年5月以降)
発表 2025年7月
出典 IT Leaders

同社は2024年4月から、AIアシスタントを段階的に入れてきました。

首都圏の建設現場での試験導入では、施工要領書や基準書をRAGで検索・参照する「技術文書アシスタント」を作り、検索の時間が短くなること、若手への知識の継承が進む可能性があることを確かめました。2025年2月に先行の利用者で試し、4月に全社へ広げています。各部門が自分たちの業務向けのアシスタントを作れる形です。

説明会やハンズオンのセミナーで利用者を増やし、2025年5月以降、利用者は2,000人を超えました。

まず1つの現場で効果を確かめ、先行の利用者、全社の順に広げると、説明会の中身も現場の実例で語れます。

社員教育・事務・問い合わせ対応のAI活用事例

社員教育・事務・問い合わせ対応のAI活用事例

新入社員の研修、社内の書類、問い合わせの通話の記録など、現場の外の業務でAIを使う事例です。

アイニコグループ(楓工務店)|IT部門のない奈良の工務店が、全部門でAIを使い1年で2,247時間を減らす

会社 アイニコグループ株式会社(奈良県奈良市。注文住宅「楓工務店」などを運営)
規模 公表なし
業務 リフォームの概算見積・補助金の書類、図面の差分の抽出、発注書・搬入日の連絡など
AIの種類・ツール 生成AI(Claude、Gemini、ChatGPT、NotebookLM など)と Google Apps Script
効果 全10部門で1年間に2,247時間の業務を削減。うちリノベ部門は月約70時間、監理課は年約90時間、施工管理は年約38時間(2025年10月の発表)
発表 2026年5月
出典 アイニコグループのプレスリリース(2026年5月・PR TIMES)
アイニコグループのプレスリリース(2025年10月・PR TIMES)

奈良・京都南部で注文住宅の「楓工務店」などを手がける同社には、IT部門も専門の人材もありませんでした。「何から始めればいいか分からない」「使っているが成果につながらない」という状態からの出発でした。

2024年10月から外部の伴走を受けて社内にワーキンググループをつくり、毎週の定例で各部門が自分たちのゴールを決めました。リノベ部門は生成AIで概算見積や補助金の書類を作り、監理課は図面の差分を抽出するアプリを自作し、施工管理は住宅設備の搬入日の連絡と発注書の作成を自動にしています。

全10部門で、1年間に2,247時間の業務が減りました。部門別では、リノベ部門が月約70時間、監理課が年約90時間、施工管理が年約38時間です。

部門ごとに「AIでどうなりたいか」を自分たちで決め、毎週の定例で成果を持ち寄ると、IT部門がなくても取り組みが止まりません。

コプロス|創業80年・社員121名の建設会社が、新入社員研修の工数を生成AIで25%減らす

会社 株式会社コプロス(山口県下関市)
規模 121名
業務 新入社員のIT研修、営業の商談の分析
AIの種類・ツール 生成AI(exaBase 生成AI)
効果 新入社員研修の工数を25%削減
発表 2026年2月
出典 コプロスのプレスリリース(Digital PR Platform)
exaBase 生成AI 導入事例

同社は文系出身の新入社員も多く採用しており、入社後の2カ月間は、Excelの操作などITの基礎を身につける研修に20〜25時間ほどを割いていました。

法人向けの生成AIのサービスを入れ、関数や操作の方法をAIが教える体制にしました。営業部門では、商談の録音を文字にしてAIで分析し、若手が上司と一緒に次の一手を考える材料にしています。

新入社員研修の工数は25%減りました。現場に詳しいベテランとデジタルに強い若手のあいだにAIが入ることで、世代をまたぐ会話も増えたとしています。

教える側の時間が足りない会社ほど、基礎の質問に答える役をAIに任せると、ベテランは現場でしか教えられないことに時間を回せます。

ミサワホーム|コンタクトセンターの通話の記録づくりを生成AIに任せ、1件あたり約4分30秒を短縮

会社 ミサワホーム株式会社(東京都新宿区)
規模 公表なし
業務 顧客からの問い合わせ対応(通話の要約と登録)
AIの種類・ツール 生成AI(音声に対応した生成AI要約支援システム「C-AI」)
効果 通話後の作業時間を1件あたり約4分30秒短縮
発表 2026年6月
出典 新建ハウジング

顧客向けのコンタクトセンターでは、通話が終わったあとの記録の登録を、オペレーターが手作業で行っていました。

同社は2025年10月に、通話の内容を生成AIで要約するシステムを入れました。AIに入れた音声の記録と出てきた要約の差を調べてプロンプトを直す改善を、受付の窓口と一緒にくり返しています。

通話後の作業時間は1件あたり約4分30秒短くなり、電話の応答率も上がりました。空いた時間は、顧客への対応にあてています。

AIの要約は入れて終わりではありません。元の記録と要約の差を見てプロンプトを直し続けることで、現場で頼れる精度になります。

中小企業の事例から見えること

中小企業の事例から見えること

今回の16件のうち、従業員数がわかる中小・中堅の会社と、地域の工務店・住宅会社をあわせると7社あります。規模の小さい建設会社の事例には、共通する始め方が4つあります。

時間のかかっている作業を1つ選んでいる

コマツは1商品に平均1〜3時間かかっていた壁紙の識別、コプロスは20〜25時間かけていた新入社員のIT研修から始めています。全社の仕組みを一度に変えようとせず、時間と手間がはっきり見える作業を1つに絞ることが、小さな会社の始め方の基本です。

毎日使う道具を先に定着させている

平山建設は、システムが定着しなかった時期を経て Google Workspace を全社に根づかせ、その上に生成AIを載せました。大豊建設も、まず LINE WORKS のボットで試しています。新しい仕組みを一から入れるより、毎日使っている道具にAIを足すほうが、現場に受け入れられやすくなります。

社員が自分たちで作っている

IT部門のないアイニコグループでは、APIやGASを知らなかった社員が、生成AIを使って見積や図面の差分の抽出の道具を作りました。平山建設でも、見積と提案の仕組みを社員が内製しています。生成AIの登場で、プログラムを書く専門の人がいなくても、自社の業務に合わせた道具を作れるようになりました。

大学や外部の伴走をうまく使っている

コマツは同志社大学と、アイニコグループは外部の伴走支援を受けて取り組みを進めました。社内にAIに詳しい人がいなくても、外の力を借りて最初の形をつくり、そのあと社内で回せるようにする進め方があります。

会社の種類別に見るAIの始め方

会社の種類別に見るAIの始め方

建設業と一口にいっても、ゼネコン、設備工事会社、住宅会社・工務店、内装などの専門工事会社では、AIで減らしやすい仕事が違います。今回の建設業の事例を、会社の種類ごとに整理しました。

会社の種類 事例で多かった使い方 今回の事例
ゼネコン 技術資料の検索、施工計画書、法令調査、構造設計、安全管理 大林組、大成建設、清水建設、戸田建設、大豊建設、北野建設、コプロス、平山建設
設備工事会社 技術文書の検索 ダイダン
住宅会社・工務店 パースと概算見積、問い合わせの記録、社内の書類 トヨタホーム、ミサワホーム、サトウ工務店、アイニコグループ
内装などの専門工事会社 部材の識別、現地へ行く回数を減らす コマツ

ゼネコンは、たまった技術資料を引ける形にすることから

ゼネコンには、施工要領書、技術提案書、過去の災害事例など、長年の資料がたまっています。今回の事例でも、清水建設・戸田建設・大豊建設・北野建設が、まずこれらをAIから引けるようにしていました。書類の量が多い施工計画書や法令調査は、その次の段階で取り組まれています。

設備工事会社は、図や表の多い資料の扱いが鍵

建築設備の資料は、図面や表が多いのが特徴です。ダイダンは、図表を含む資料にAIが答えられない問題を、資料の整え方を変えることで解決しました。設備工事会社では、AIを選ぶ前に、読ませる資料の形を確かめておくことが大切です。

住宅会社・工務店は、施主に見せる資料から

住宅会社と工務店では、パースや概算見積など、施主との打ち合わせで見せる資料にAIを使う事例が目立ちます。成果が施主の反応で見えやすく、営業の担当者にも効果が伝わりやすい領域です。

専門工事会社は、職人の「見ればわかる」をAIに

内装や仕上げの専門工事会社には、ベテランが目で見て判断している仕事が多くあります。コマツの壁紙の識別のように、画像認識のAIで置き換えられると、現地に行く回数そのものを減らせます。

導入にかかる費用と期間の目安

導入にかかる費用と期間の目安

建設業でのAIの導入にかかる費用は、既存のツールを使うのか、自社の業務に合わせて作るのかで大きく変わります。今回の事例に出てきた使い方ごとに、目安をまとめました。

使い方ごとの費用の目安

使い方 主な形 費用の目安
生成AIのツールを全社で使う(研修・書類・議事録) 法人向けの生成AIのサービスを契約する 1人あたり月数千円程度から
パース・見積の作成 使っているCADや提案のシステムにAIの機能を足す 今の契約に追加の料金を払う形が多い
安全管理のAIカメラ クラウドカメラに映像解析のAIを足す カメラの台数と検知する項目の数で変わる
技術資料の検索・施工計画書・設計の自動化 社内の資料やシステムとつなぐ仕組みを作る つなぐデータと業務の範囲で大きく変わる。見積もりで範囲をそろえて比べる

見積もりの内訳や比べ方は、AI導入の費用相場とAI開発・PoCの費用相場で詳しく説明しています。

事例に見る、試し始めてから本運用までの期間

今回の事例のうち、試し始めた時期とその後がわかるものを並べました。多くの会社が、1年前後の試行や検証を経て全社や現場での運用に進んでいます。

会社 試し始め その後
大豊建設 2024年3月に LINE WORKS のボットで試行 2025年6月に全社へ展開。約8カ月で307名が利用
清水建設 2024年4月から段階的に導入し、首都圏の現場で試行 2025年4月に全社へ展開。5月以降に利用者2,000人超
北野建設 2024年度から日立ソリューションズと検証 2026年5月に建設現場での運用を開始
アイニコグループ 2024年10月に社内のワーキンググループを設置 1年間で2,247時間の業務を削減
大林組(AIカメラ) 2026年2月〜5月の120日間、現場で実証 検知できることを確認し、ほかの現場への展開を検証

建設業のAI導入で使える主な補助金

AIの導入には、国の補助金を使える場合があります。主なものは次の3つです(2026年10月時点)。

補助金 向いている使い方 補助の上限・補助率
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) AIの機能を持つソフトウェアやクラウドのサービスを入れる 通常枠で5万円以上450万円以下。補助率は1/2以内(条件を満たすと2/3以内)
中小企業省力化投資補助金 省力化につながる機器やシステムを入れる カタログ型・一般型で条件が異なる。公式サイトで確かめる
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 AIを組み込んだ新しい製品・サービスの開発や、新しい事業への進出 公募の回ごとに異なる。公式サイトで確かめる

補助金は公募の時期や条件が回ごとに変わります。申請の前に、公式サイトで最新の公募要領を確かめてください。補助金の全体像は、AI導入に使える補助金でまとめています。

AIに任せられないこと・導入の注意点

AIに任せられないこと・導入の注意点

最後の判断と責任は人が持つ

建設業で扱う構造や法令、安全にかかわる判断は、間違えたときの影響が大きい仕事です。大成建設は、AIの出力の信頼性が低い箇所を示し、そこを経験豊富な技術者が確かめる形にしています。AIは判断の材料を早く出す道具と考え、最後の判断と責任は人が持つ形にしておくことが大切です。

もっともらしい誤り(ハルシネーション)に備える

生成AIは、事実と違う内容をもっともらしく書くことがあります。社内の資料を読ませて答えさせる仕組み(RAG)でも、答えの根拠となる資料をあわせて示す形にしておくと、人が確かめやすくなります。

図面や顧客の情報を外に出さない

建設業で扱う図面、見積、施主の情報は、外に出してはいけない情報です。入力した情報がAIの学習に使われない法人向けのサービスを選び、どの情報を入れてよいかを社内のルールで決めておきましょう。社員が個人向けのAIを勝手に使うことを防ぐためにも、会社として使ってよいツールを先に決めておくことが大切です。

資料がそろっていないとAIは働かない

戸田建設は社内に散らばっていた資料を、大林組は過去の法令解釈や設計検証の知見を、AIが参照できる形にしてから使っています。資料が紙のままだったり、図表の形がばらばらだったりすると、効果は出にくくなります。

現場が使い続けられる形にする

大林組は、新しいシステムの開発や複雑な設定が要る仕組みは現場に入れにくいとして、パッケージになったAIカメラを選びました。北野建設は、現場の担当者がタブレットから使える形にしています。精度だけでなく、現場の人が毎日使えるかどうかも、導入の前に確かめておきたい点です。

建設業でAIを導入する進め方

建設業でAIを導入する進め方

今回の建設業の事例に共通する流れを、5つのステップにまとめました。

01

AIに任せたい作業を1つ決める

見積、書類づくり、資料の検索、研修など、毎日くり返していて時間のかかる作業を1つ選びます。誰が、どれだけの時間をかけているのかも書き出しておきます。

02

使う資料とデータを集める

施工要領書、過去の施工計画書、図面、社内規程など、AIに読ませる資料がどこに、どんな形であるのかを確かめ、1か所に集めます。

03

1つの現場や部門で試す

今の作業と並べて、AIを数カ月試します。精度だけでなく、現場が使い続けられるか、時間がどれだけ減ったかも記録します。

04

効果を数字で確かめ、使うルールを決める

減った時間や利用の回数を、試す前と比べます。効果が確かめられたら、入れてよい情報や、人が確かめる箇所などのルールを決めます。

05

ほかの現場や部門に広げる

うまくいった使い方を、説明会や社内の共有の場でほかの現場や部門に広げます。現場の実例で説明すると、広がる速さが変わります。

よくある質問

よくある質問
Q. 中小の建設会社でもAIを導入できますか?
できます。本記事でも、従業員12名のコマツや社員85名の平山建設、121名のコプロスなど、規模の小さい会社の事例を紹介しました。法人向けの生成AIのサービスを使う方法や、社員が生成AIで自社の道具を作る方法など、費用を抑えた始め方も増えています。
Q. 建設業でAIの効果が出やすいのはどの業務ですか?
今回の建設業の事例では、書類を作る作業(施工計画書、通話の記録)と、情報を探して読む作業(法令調査、社内規程や技術資料の検索)、目で見て見分ける作業(壁紙の識別)で、時間の削減が数字で示されています。
Q. 試し始めてから本運用までどのくらいかかりますか?
今回の建設業の事例では、1年前後の試行や検証を経て本運用に移った会社が多く見られます。大豊建設は試行から全社展開まで約1年3カ月、清水建設は段階的な導入から全社展開まで約1年です。
Q. 社内にAIに詳しい人がいなくても始められますか?
始められます。IT部門のないアイニコグループは、外部の伴走を受けながら、全10部門でAIの活用を進めました。最初は外の力を借り、毎週の定例などで社内で回せる形をつくると定着しやすくなります。
Q. 現場の作業員や監督もAIを使えますか?
使えます。北野建設では、現場の担当者がPCやタブレットから対話の形で情報を探しています。大林組のAIカメラのように、現場の人が操作しなくても、AIが危険を見つけて知らせる使い方もあります。
Q. 図面や見積の情報を生成AIに入れても大丈夫ですか?
入力した情報がAIの学習に使われない法人向けのサービスを選ぶことが前提です。そのうえで、どの情報を入れてよいかを社内のルールで決めておきましょう。

まとめ

まとめ
01
建設業のAI活用は、見積・営業提案、設計・法令調査、施工管理・安全管理、技術資料の検索、社員教育・事務の5つの業務で事例が多い
02
従業員12名の内装会社や社員85名の建設会社でも、AIで時間を減らした事例が出ている
03
中小企業の事例は、時間のかかる作業を1つ選び、毎日使う道具の上にAIを載せて始めている
04
ゼネコンは技術資料の検索、住宅会社・工務店は施主に見せる資料と、会社の種類で始めやすい業務が違う
05
最後の判断は人が持ち、図面や顧客の情報を外に出さないサービスを選ぶことが導入の前提になる

製造業の事例は製造業のAI活用事例で、AI導入の全体の流れは中小企業のAI導入で紹介しています。あわせてご覧ください。

出典一覧

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本記事の事例と数字の出典です。事例は発表の新しい順に並べています。

事例の出典