Case Study

請求書の発行・入金の消込・記帳を、AIの下書きと人の確認に切り替えた事例

BtoB受託サービス請求書の作成・保管・突き合わせと、月約150件の手入力

会社BtoBの受託サービスを営む企業。銀行口座3つと法人カード5枚で支払いが動き、記帳する取引は月に約150件ある。請求と記帳は、経理担当者と代表者が行っている。

BtoBの受託サービスを営む企業で、請求書の発行から、受け取った請求書の保管と支払いとの突き合わせ、入金の消込、月次の記帳までを見直した取り組みです。AIが直近の請求書と銀行・カードの明細を読み、請求書の下書き、受け取った請求書の保存、明細と帳簿の突き合わせまでを行います。経理担当者は金額の確認と送付、AIが判断できなかった取引の確認に絞り、代表者は月末の確認だけを行います。たまっていた10か月分の記帳は3日間で登録できました。月の作業時間は約21時間から約4.5時間になる計算です(概算)。

業態
BtoBの受託サービス
対象業務
請求書の発行・受け取った請求書の保管と突き合わせ・入金の消込・月次の記帳
月の件数
発行する請求書 約30件、受け取る請求書 約40件、記帳する取引 約150件、入金の消込 約40件
担当
経理担当者と代表者
期間
2026年3月に着手(請求書の下書きをAIで作る手順は、2026年8月から一部の請求書で使い始めた)
立ち上げ
手順づくり 約20時間(概算)
使った道具
クラウド会計ソフト、Claude、銀行3口座・法人カード5枚の明細、Gmail、Googleドライブ

Key Numbers

数字で見る変化

月の作業時間
前は約21時間後は約4.5時間
いずれも概算。経理担当者と代表者の合計。1件あたりの時間に月の件数を掛けた計算
人件費に換算した月の費用
前は約6.3万円後は約1.4万円
いずれも概算。時給3,000円と置いて計算。記帳する取引は月約150件

Background

導入の経緯

  1. これまで

    請求と記帳は、経理担当者と代表者の手作業だった

    請求書は過去の請求書を見ながら作り、受け取った請求書はメールから探してGoogleドライブに保存し、仕入れや支払いの金額と突き合わせていました。会計ソフトの自動登録で入るのは支払いの半分ほどで、残りは明細を見ながら手で入れていました。

  2. 2025年6月〜

    記帳と消込がたまり始めた

    手が回らない月は記帳と入金の消込が後回しになり、2026年3月の時点で10か月分が終わっていない状態になりました。

  3. 2026年3月

    AIで突き合わせと記帳を始めた

    たまっていた10か月分を、AIが明細と帳簿を突き合わせて3日間で登録し、その後の約1週間で人が確かめました。受け取った請求書の保存と紐づけも、このときからAIに任せています。

  4. 2026年8月

    請求書の下書きもAIに任せ始めた

    同じ取引先の直近の請求書から下書きを作る手順を、一部の請求書で使い始めました。送るのは今も人です。

Issues

置き換える前の課題

  1. 単価を過去の請求書から拾っていた

    請求書は、過去の請求書を見ながら、件名・単価・支払期日を入れて作っていました。月約30件で1件約8分(概算)。単価の改定があった取引先で改定前後の単価を取り違え、取引先の指摘を受けて出し直したことがあります。

  2. 受け取った請求書の保管と突き合わせが手作業だった

    外注先などから届く請求書は月約40件あります。メールを探してGoogleドライブに保存し、実際の仕入れや支払いの金額と1件ずつ突き合わせていました。保存と突き合わせで月約4.7時間(概算)です。

  3. 月約150件の記帳が、月内に終わらなかった

    銀行3口座と法人カード5枚の明細を見ながら、会計ソフトに1件ずつ入れていました。手が回らない月は後回しになり、10か月分の記帳と入金の消込が終わっていない状態になりました。

  4. 会計ソフトの自動登録では足りなかった

    会計ソフトには、明細から自動で取引を登録する機能があり、前の年度は支払いの取引の半分ほどをこれで登録していました。ただ、登録のルールでは対応できない取引が多く、残りは手で入れていました。この機能は、今回の見直しで使うのをやめました。

Approach

アプローチと導入の流れ

  1. 工程の洗い出し

    請求から記帳までを、6つの工程に分けた

    請求書の発行、受け取った請求書の保存、支払いとの突き合わせ、明細からの記帳、入金の消込、月末の確認に分け、経理担当者と代表者のどちらが何をしているかを書き出しました。

    できたもの工程表(6工程・担当つき)

  2. 工数の算出

    件数と1件あたりの時間から、月の時間を出した

    予定表の記録と月の件数から、工程ごとの時間を出しました。合わせて月に約21時間(概算)。いちばん大きいのは、月約150件の記帳でした。

    できたもの工程ごとの時間表(月 約21時間の内訳)

  3. データ整備

    明細の取り出し方と、突き合わせの条件を決めた

    銀行3口座・カード5枚の明細ファイルの取り出し方、受け取った請求書の保存先と名前のつけ方、突き合わせの条件(金額が一致し、日付の差が前後5日以内)を決めました。

    できたもの明細の取り出し手順、請求書の保存先フォルダと名前の決まり、突き合わせの条件

  4. 構築

    AIと会計ソフトをつなぎ、下書きから消込までを任せた

    AIと会計ソフトを連携機能(API)でつなぎ、請求書の下書き、請求書の保存と紐づけ、明細と帳簿の突き合わせ、入金の消込をAIが行う流れを作りました。新しい取引先の登録と、締めた年度の帳簿の書き換えはAIにさせません。

    できたもの請求書の下書き・保存・突き合わせ・消込の手順書

  5. 業務の削減

    人の作業を、確かめて送ることに絞った

    経理担当者は、請求書の確認と送付、条件に合わず「要確認」の印が付いた取引だけを見ます。代表者は、月末に処理の一覧を確かめるだけになりました。

    できたもの月の作業 約21時間 → 約4.5時間(概算)

Before → After

工程がどう変わったか

  1. 過去の請求書を見ながら請求書を作る

    経理担当者・1件 約8分

    AIに任せた

    AIが下書きを作り、経理担当者が確かめて送る

    1件 約2分

  2. メールから受け取った請求書を探し、Googleドライブに保存する

    経理担当者・月 約2時間

    人の工程がなくなった

    AIが添付を集め、名前をそろえて保存する

    人の作業なし

  3. ドライブの請求書と、仕入れ・支払いの金額を突き合わせる

    経理担当者・月 約2.7時間

    人の工程がなくなった

    AIが金額と日付で帳簿の取引に紐づける

    人の作業なし(要確認だけ下の確認へ)

  4. 明細を見ながら、会計ソフトに1件ずつ入れる(月約150件)

    経理担当者・月 約7.5時間

    AIに任せた

    AIが明細を読み込み、帳簿と突き合わせて登録する。「要確認」だけ人が見る

    経理担当者・月 約2.5時間(要確認の確認)

  5. 入金を見て、どの請求の分かを照らし合わせる(月約40件)

    経理担当者・月 約2.7時間

    人の工程がなくなった

    AIが照らし合わせ、手数料の差額も分けて記録する

    人の作業なし

  6. 月末に、帳簿と明細が合っているかを確かめる

    代表者・月 約2時間

    人が続ける

    AIが出した処理の一覧を確かめる

    代表者・月 約1時間

Tools

使った道具と月額

  • 前後とも

    クラウド会計ソフト

    役割帳簿と請求書の発行。前から契約しているもの。置き換えた後は、AIと連携機能(API)でつなぎ、取引の読み書きをさせる

    月額月8,008円前から契約している額。増減なし

  • 置き換えた後

    Claude(AI)

    役割請求書の下書き、受け取った請求書の保存と紐づけ、明細と帳簿の突き合わせ、入金の消込

    月額会社全体の定額契約 月約1.8〜2.0万円他の業務と共用。経理だけの分は切り分けていない

  • 前後とも

    銀行3口座・法人カード5枚の明細

    役割入出金と支払いの元データ。明細ファイル(CSV)を取り出してAIに読ませる

    月額追加費用なし

  • 前後とも

    Gmail

    役割経理用のメールに届いた請求書を探し、添付を集める

    月額追加費用なし既存のメール

  • 前後とも

    Googleドライブ

    役割受け取った請求書を月別に保存する場所

    月額追加費用なし既存の契約

Workflow

作業の流れ(前と後)

人が行う工程AI・プログラムが行う工程

Before置き換える前

請求書を出す

  1. 過去の請求書を見ながら件名・単価・支払期日を入れて作り、メールで送る(月約30件)

    担当経理担当者時間1件 約8分(概算)・月 約4時間

受け取った請求書

  1. メールから請求書を探し、名前をそろえてGoogleドライブに保存する(月約40件)

    担当経理担当者時間1件 約3分(概算)・月 約2時間

  2. ドライブの請求書と、実際の仕入れ・支払いの金額を1件ずつ突き合わせる

    担当経理担当者時間1件 約4分(概算)・月 約2.7時間

記帳と消込

  1. 自動登録で入らなかった取引を、銀行3口座・カード5枚の明細を見ながら会計ソフトに入れる(月約150件)

    担当経理担当者時間1件 約3分(概算)・月 約7.5時間

  2. 入金を見て、どの請求の分かを1件ずつ照らし合わせる(入金の消込、月約40件)

    担当経理担当者時間1件 約4分(概算)・月 約2.7時間

  3. 月末に、帳簿と明細が合っているかを確かめる

    担当代表者時間月 約2時間概算

After置き換えた後

請求書を出す

  1. AIが会計ソフトから同じ取引先の直近の請求書を読み、件名・単価・支払期日を引き継いだ下書きを作る。単価は数か月分の請求額を回数で割り戻して確かめる

    担当AI(Claude)時間人の作業なし依頼のみ

  2. 金額と内容を確かめ、会計ソフトの画面から送る。AIは送らない

    担当経理担当者時間1件 約2分(概算)・月 約1時間

受け取った請求書

  1. AIが経理用のメールから請求書の添付を集め、名前をそろえてGoogleドライブに月別に保存する

    担当AI(Claude)時間人の作業なし依頼のみ

  2. AIが保存した請求書を、金額と日付をもとに帳簿の取引に紐づける。2026年3月までの1年分では、213件のうち166件(約8割)が自動で紐づいた

    担当AI(Claude)時間人の作業なし依頼のみ

記帳と消込

  1. AIが銀行3口座とカード5枚の明細ファイルを読み込み、帳簿の取引と、金額と日付(前後5日以内)で突き合わせて登録する。消費税の区分、源泉徴収、振込手数料の処理もここで行う

    担当AI(Claude)時間人の作業なし依頼のみ

  2. AIが入金を、どの請求の分か照らし合わせる。まとめて払う取引先は合計額で、振込手数料を差し引いた入金は差額を分けて記録する

    担当AI(Claude)時間人の作業なし依頼のみ

  3. 条件に合わず「要確認」の印が付いた取引(月約30件)を確かめる

    担当経理担当者時間月 約2.5時間概算

  4. 月末に、AIが出した処理の一覧と、未処理が残っていないかを確かめる

    担当代表者時間月 約1時間概算

Results

時間と費用の変化

  • 月の作業時間(請求・保管・突き合わせ・記帳・消込の合計)

    数値はいずれも概算

    変化は約16.5時間減年 約200時間

    前約21時間

    後約4.5時間

    経理担当者と代表者が手を動かす時間。1件あたりの時間に月の件数(請求書約30件、受け取る請求書約40件、記帳約150件、消込約40件)を掛けた計算

  • 人件費に換算した月の費用

    数値はいずれも概算

    変化は約4.9万円減年 約59万円

    前約6.3万円

    後約1.4万円

    時給3,000円と置いて計算

  • 請求書1件の作業時間

    数値はいずれも概算

    変化は約6分減(見込み)

    前約8分

    後約2分(見込み)

    後は、AIの下書きを確かめて送る時間の見込み

  • 受け取った請求書の保存と突き合わせ(月約40件)

    変化は約4.7時間減(概算)

    前約4.7時間(概算)

    後人の作業なし

    AIが保存と紐づけを行う。紐づかなかったものは「要確認」として、記帳の確認の中で人が見る

  • 道具代(月額)

    変化はAIの利用料の分が加わる

    前8,008円

    後8,008円+AIの利用料のうち経理の分

    会計ソフトは前から契約しているもので、料金は増減なし。AIは会社全体の定額契約(月約1.8〜2.0万円)を他の業務と共用しており、経理の分は切り分けていない

  • たまっていた記帳と消込

    前10か月分が終わっていない状態

    後3日間で登録し、その後の約1週間で確認

    2025年6月〜2026年3月分。2026年1〜3月分は、銀行明細と帳簿の取引が全件一致した(突き合わせ率100%)

Summary

まとめ

変えたのは道具よりも、作業の分け方でした。請求書の下書き、受け取った請求書の保存と突き合わせ、記帳、入金の消込はAIに任せ、金額の確認、送付、判断が分かれる取引は人に残しています。経理担当者と代表者の作業は、月約21時間から約4.5時間になる計算です(概算)。請求書の下書きをAIで作る手順は、まだ一部の請求書で使い始めた段階です。概算の数字は、記録がそろった時点で見直します。

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