Overview
プロジェクト概要

社内マニュアル・FAQ・過去問合せ履歴をナレッジとして取り込み、RAG(検索拡張生成)で回答するチャットサポートAIを構築。問合せの一次解決率80%超を実現し、サポート担当の対応件数を半減させた事例です。
| 業種 | BtoB SaaS(中堅クラス / 導入企業数百社規模) |
| 対象業務 | ユーザー向けチャットサポート/社内ヘルプデスク |
| 導入期間 | 約6週間(ナレッジ整備3週 + 実装2週 + 運用チューニング1週) |
| 運用規模 | 月間チャット問合せ 約3,800件 |
Before — 問合せ対応のつらさ
サポートチームが抱える問題は、同じような質問が繰り返し来るという一点に尽きます。マニュアルには回答が載っているのに、ユーザーは読まずに「ログインできない」「CSVインポートが失敗する」と投げてくる。その一次対応だけで担当者の時間が溶けていました。
- 全問合せの約65%が既存FAQ/マニュアルで回答可能な内容
- 夜間・休日は有人対応不可。返答まで翌営業日午前までかかる
- 担当者ごとに回答トーンがバラつく(新人とベテランの差)
- ナレッジがConfluence・Notion・社内Wiki・Slackに分散し、最新版がどれか分からない
Solution — RAG構成のチャットサポートAI
チャットの応答を「AIの想像」ではなく「社内ナレッジからの根拠ある引用」に寄せるため、RAG(Retrieval-Augmented Generation)構成を採用。質問ごとに社内ナレッジを検索し、その結果をAIに渡してから回答を生成させる構成にしました。
| レイヤー | 実装内容 |
|---|---|
| ナレッジ統合 | Confluence / Notion / ヘルプセンター / 過去のZendeskチケットを日次同期。更新された文書はベクトル化し直して最新版のみを参照する設計。 |
| 検索(Retriever) | ベクトル検索 + キーワード検索のハイブリッド。検索結果は根拠ドキュメントのURLと抜粋付きで取得。 |
| 回答生成(Generator) | Claudeに検索結果を渡し、ハルシネーションを抑える系統プロンプトで回答。根拠URLを回答末尾に自動付与。 |
| 有人エスカレーション | 「検索ヒット0件」「回答の信頼度低下」「クレーム・解約キーワード検出」のいずれかで、会話要約付きでサポート担当チャンネルへ転送。 |
| 学習ループ | 有人対応になったチャットは、解決後に「FAQ追加候補」として自動生成し、担当者が承認するだけでナレッジに反映される設計。 |
ハルシネーションを許容しない3つの約束
BtoB SaaSのサポートでは、AIの「それっぽい嘘」は事故です。以下のルールをプロンプトと実装の両側で強制しました。
- 根拠なしの回答を絶対に出さない — 検索ヒットが0件なら回答せず、有人へ転送する
- 回答末尾に参照URLを必ず出す — ユーザーがクリックして確認できる状態にする
- 古い文書を参照したら警告する — 最終更新が90日超の文書を使った場合は「情報が古い可能性」の注記
成果(運用4ヶ月実績)
AIの一次解決率
82%
残り18%は有人対応へ自動エスカレーション
有人対応件数
3,800件 → 680件
サポート1人あたり工数が約6割減
初回回答までの時間
平均7時間 → 3秒
夜間・休日も即応
FAQ更新頻度
四半期 → 週次
有人対応から自動で増補
使用スタック
- LLM: Claude(回答生成 / 意図分類 / FAQ候補生成)
- ベクトルDB: 社内ナレッジを埋め込みインデックス化
- ナレッジ同期: Confluence / Notion / ヘルプセンターのAPI経由日次同期
- フロント: 自社プロダクト内チャットUI / Slack連携(社内ヘルプデスク用)
- エスカレーション: Zendesk / Slackの自動チケット生成、会話要約付与
- モニタリング: 解決率・信頼度分布・コスト(トークン)・ユーザー満足度を日次計測
この事例から得られる示唆
チャットボット単体ではなく、「ナレッジが最新であり続ける運用」と「有人対応からFAQに還流させる学習ループ」までを設計に含めると、成果は数ヶ月単位で伸び続けます。for,FreelanceはRAG構成の設計だけでなく、ナレッジ統合・運用プロセスの引き継ぎまで対応しており、カスタマーサポートの構造改革として提供可能です。